不動産エピソード(売買編)

【ご相談】売却したい不動産が位置指定道路(持分無し)に接道している。

2019年06月21日

【ご相談内容】

・厚木市内の行政書士さんからのご紹介案件。被後見人さんの所有している不動産を売却したい、とのこと。

・家庭裁判所から居住用不動産の売却許可を得る必要が有り、査定書などの資料を作成する為、市役所にて調査を開始。当該不動産が建築基準法第42条5項(所謂位置指定道路)の道路に接していることが判明。なお、この道路の持分が被後見人さんにはありませんでした。

 

【ご提案】

建築基準法42条1項5号(位置指定道路)とは、

土地を建築物の敷地として利用するため、道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法、新都市基盤整備法、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法又は密集市街地整備法によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で、これを築造しようとする者が特定行政庁からその位置の指定を受けたもの

と、これだけ読んでも正直よく分からないと思います。

簡単に言えば、「あくまで私道ですが、行政によって建築基準法の許可を得た道路」となるでしょうか。

・建築基準法上の道路に2m以上の接道がある為、再建築することなどは原則的に可能となります。通行に関しても道路ですので、誰でも自由に通って良いもの・・・と思われるのですが、完全にそうとは言えないようです。(ご参考:全日本不動産協会Q&A

・さらにあくまで私道であって所有者がいますので、上下水道の配管等の為に位置指定道路を掘削する場合、所有者の許可を得る必要が有ります。

・従ってこのような土地を売買する場合は、予め位置指定道路の持分を取得するか、「永久通行許可書」と上水・下水配管工事に伴う「道路掘削許可書」を取得することが必要になってきます。

 

《不動産お悩み相談室より》

・今回の位置指定道路は昭和30年代の前半に指定されたものでした。最近の位置指定道路では比較的このようなケースは少なく、分譲した各宅地の所有者に持分を分けていくのが通常だと思いますが・・・

・ちなみに「永久通行許可書」や「道路掘削許可書」が取得できなければ、全く売却が出来ないかと言えばそうではありません。もし同じようなケースでお悩みの場合は是非一度ご相談下さい。