不動産エピソード(賃貸編)

【ご相談】30年間家賃保証のあるはずだったアパートの管理会社を変更したい。

2019年05月24日

【ご相談内容】

・厚木市内にアパートを所有のオーナー様からのご相談。

・30年間家賃保証があるから、と建築をしたアパートの収益が上がらず、2年毎に条件の更新をすることで借り上げ家賃が下がっている。どうにか改善をすることが出来ないか?という内容でした。

【ご提案】

・まずは建築されているアパートの立地や間取りをヒアリングし、近隣にある同種の賃貸物件や賃料の相場観を調査しました。

→現在の借り上げ家賃と比較して、借り上げ契約を解約しても収益性があるかを確認しました。

・今回のアパートの場合、近隣相場に比較して借り上げの賃料がかなり低く設定されていた為、借り上げ契約を解約すべき物件でした。

→実際、相談があった時点での入居率は60%ほど。オーナーに対し、借り上げ家賃は低く抑えているのに、実際の募集家賃が高すぎる為、入居者が決まっていない様子でした。適正な家賃で、適正なターゲットに対しアピールすればある程度入居率が高まることが想定できました。

・想定外だったのは借り上げ契約の解約を申出した以降、入居している契約者を個別の契約に切り替えようとした際に、全て同社の他の物件に転居をされてしまったことでした。つまり、全て空室の状態になってオーナーに戻ってくるという信じられない状態になりました。

→しかし、逆に緩い審査により入居した滞納者を退去させることができ、部屋の中の状態をしっかりチェックできたので、入居募集をしやすいと考えました。結果として当初の想定通り、1年以内で満室を達成することができました。

《不動産お悩み相談室より》

・テレビ東京の「ガイアの夜明け」などマスコミでレオパレスやかぼちゃの馬車の問題が取り上げられ、最近では関心が高まってきた長期間の賃料保証の問題ですが・・・30年家賃保証と言っても、「30年間、同じ金額の家賃が保証」されている訳ではありません。

・そして、保証金額が徐々に下がっていくような状態のアパートでは(というか、建物が古くなっていくので当然下がる傾向にあるのが普通です。)、家賃保証の契約を続けるのも不安、解約するのも不安という状況になります。アパートを建築した会社からしてみれば、建築時に利益を得ると共に家賃保証でも実際入居者から受領する家賃との差額が毎月利益となっています。もちろん、これが逆ザヤとなって赤字になれば、どんどん保証金額を下げ、それが嫌なら家賃保証契約を解約して頂いて結構ですよ・・・となるわけです。

・今後人口が減り、都市部へと集中していく状況では、地方都市でのこうした問題はこれからさらに噴出してくることと思われます。手遅れにならないように、早め早めに対応策を検討することが必要です。